こんばんわ
今日は読書感想文の回です。
もくじ
大人のための残酷童話
本書は誰もが聞いた事のある昔ばなしが少し変わった調子になっている作品でした。
読んで怖くなるよりも不気味な感覚が残る面があり、しかも残酷な結末を迎える事が多かったです。
かぐや姫の話では月に帰らなかった姫様が兵士たちに八つ裂きにされたり、白雪姫の話では毒リンゴを食べた白雪姫を助けるため王子様が王女様に直談判に行くもそのまま仲睦まじくなってしまい、忘れられてしまったりと小さい頃に聞いたり見たりした話でした。
本書の面白かった所
本誌の中で特に興味が残った話を紹介します。
〇一寸法師
一寸法師は子どものいない老夫婦が神様にお願いして誕生した子どもです。
針の棒を剣にして、お椀にのって旅に出ます。
旅先で出会ったお姫様を鬼から救うというのが絵本などのストーリーです。
この小説では確かに子どもがいない老夫婦の元に一寸法師が登場しますが、おばあさんは何でこんなに小さい子なの?と不機嫌になり半ば追い出す形で家を後にします。
そして、お姫様と出会って鬼を退治して結婚するところまでは同じです。
打ちでの小槌のおかげで大きくなった一寸法師とお姫様はいつまでも仲良くなるかと思われていたのですが、お姫様との仲が険悪になっていきます。
その理由は一寸法師のイチモツが小さく満足出来ないとの事です。
ここで物語が終わるのですが、なぜ打ちでの小槌を使わないか?と思ってしまいます。
なんとも勿体ない終わり方ですね。
〇カエルの王子様
意地悪な継母と従順な娘の話でした。
意地悪な継母は娘に無理難題を押し付けて家から追い出そうとします。
世界の果てにいる泉の水をフルイ(穴の開いた桶)を使って取ってこいと言います。
娘は何とか泉に辿り着きましたが、水を汲むことが出来ません。
娘が泣いているとそこに蛙が顔を出します。
泣いている娘に蛙が話を聞くと、解決方法を教える替わりにある約束を依頼します。
その約束とは結婚して欲しいという内容でした。
娘は早く家に帰りたいと思ったいたので二つ返事で了承します。
水を持って無事に家に戻ると意地悪な継母はさすがに追い出す事は出来ませんでした。
そして数日が経ったある日の夜に娘の部屋の窓を叩く音がします。
音の方を見るとあの時の蛙がいました。
蛙は約束を守ってもらおうと思ってやってきたのですが、娘は実は結婚などする気はありませんでした。
あの泉から来れるはずはないと思っていたのです。
大声で蛙を追い出そうとしますが、継母がやってきてその話を聞くと娘に一度した約束は守るのですと早速イジワルを始めます。
蛙と娘は一緒に過ごし、その晩にある夢をみます。
この蛙はさる国の王子様で3年間の間一緒に過ごせば元の姿に戻るとの事、もしそれが嫌ならば斧で首と胴体を切り離せばすぐに元に戻ると教えてくれます。
夢に出た蛙はそんな酷い事はしないでおくれと懇願します。
しかし、娘は蛙との生活を続ける気はなかったので目が覚めて斧を振り上げて蛙に一撃を加えます。
その音を聞いてやってきた継母は首と胴が離れた王子様だった人を見つけます。
なんとも惨いお話です。
最後に
人間の欲は業が深いですね。
どの話にも絵本などで登場する素晴らしい人はほとんどいません。
そして、各話には最後に教訓と書かれています。
蛙の話の場合は、真の愛とは醜いものを愛する事、つまり不可能であるという事と書かれています。
それよりも人は簡単に人を騙す方が似合っているような気がしました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。