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”幕末まらそん侍”を読んで【参考読書時間:3時間】

 

こんばんわ

 

今日は読み終わった本の紹介をします。

 

今回の記事の内容

 

 

幕末まらそん侍 あらすじ

 

 

 まらそんと書くと?となるかもしれませんね。

ラソンと言えば誰もが分かる長距離を走る事です。

本書では遠足と書かれています。

安中藩主、板倉勝明が黒船襲来から平和ボケしてしまった侍に喝を入れるために心身を鍛え直す意味を込めて始めたのが今回のメインとなる遠足です。

領内で参加する侍は96人で一度に走る事はせずに7.8人のグループに分かれておよそ8里先のゴールを目指す事になります。

各グループで1位になったものには褒美を取らすという事もあり、嫌だというものも入れば気合の入る人もいます。

 

1章

 

 真面目で愚直な侍と要領の良い侍が登場します。

真面目な侍は長距離を走る方法を研究したり、鍛錬によって勝負に挑みます。

対する侍は、コースを下見し近道が出来る所や、駕籠を使って疲れないで進む方法など勝てば良い方法を考えます。

2人はそれぞれの考えたやり方でレースを走ります。

 

2章

 

 この話は料理がめちゃくちゃ下手なお嫁さんがいる侍の話です。

ドブから掬った汁という表現される程の料理らしいので考えただけでも食欲が失せます。

そんな嫁を娶った侍は、結婚する前に江戸で鍛錬をしていた頃よく懇ろにしていた女子がいまいた。

今の嫁はとても甲斐甲斐しくしてくれるのですが、侍は昔の女性の事ばかり考えています。

そうした鬱々とした日々を過ごしている時に、昔の女から便りが届きます。

身内が亡くなり頼る人もいなくなったので、会いたい・・と。

侍は驚きと共に喜びに溢れます。

侍は遠足の間に会いに行こうと決めていました。

そして、そのまま何もかも捨てて愛した女性と駆け落ちしようと考えていました。

 

3章

 

 この話は徳川家の代々の隠密の話です。

普段は侍として生活し、平和な日々が続き隠密である事を忘れそうな日々でした。

一応、定期的に雇い主である幕府に報告をします。

「異常なし」

侍は段々と自分の仕事に対して不安になってきます。

報告している文は届いているのか、幕府の隠密はもう機能していないのではないかと。

そこで、今回のと遠足が始まった時に侍は悩んだ末に幕府へ

「藩主、乱心あり」

と文を出す事にします。

平和な日々も嫌いではないが、侍は幕府の隠密という仕事を代々世襲で受けている。

文を出した後に、驚く事に幕府からの連絡があり詳しく話を聞かせて欲しいと連絡があります。

 

4章

 

 貧乏な侍の話です。

もう少し俸禄があれば嫁も子どももマシな生活が出来るといつも悩んでいます。

今回の遠足で褒美を取らせるという事に一縷の期待を寄せて参加します。

そんな侍にある人物が近寄ってきます。

その人物は、侍に1位にならないで欲しいと相談しに来ます。

この遠足を賭け事にしている人が八百長をして欲しいと持ち掛けてきたのです。

見返りは小判10枚と侍にしてみれば喉から手が出るほど欲しい金額です。

この金額があれば、借金も返済できて、嫁の妹の結婚式にお祝いを送る事も出来て、子どもにたらふくご飯を食べさせられる。

侍は悩んだ末に八百長の話にのる事にして遠足に参加します。

 

5章

 

 この話の侍は隠居した侍の話です。

隠居後は嫁と慎ましく暮らしていたが、折に飢饉が起こり侍は仏心をもって困った人に飯を食べさせたり、蓄えを与えたりしていました。

しかし、自分たちが生活が出来ないくらいになり家に来た人々に断りを入れると今までの感謝の言葉などはなく、もっと寄越せ、俺たちはまだもらっていない!など無心ばかりしてきます。

そんな言葉を受け、人々を追い払うと次は強盗に遭い余生を過ごすための蓄えも奪われてしまいます。

その日から嫁と2人で忙しく働くわけですが、元々嫁は体が弱く過労で病気になりその後に逝ってしまいます。

侍は自分の仏心によって苦労させた事を悔やみます。

そして、誰とも会わずに孤独に暮らします。

そんな侍が山で作業をしているとある少年と出会います。

その少年はかつて自分が侍だった頃に御前試合で戦った相手の息子です。

少年にかつての戦友が流行り病でこの世を去った事を知ります。

ところで、少年は何をしているのかというと父が参加するはずであった遠足へ自分が走ると言っています。

その鍛錬のために山で練習をしていたそうです。

何かの縁だと遠足の鍛錬を手伝うことになり、この奇妙な巡り合わせが侍の冷え切った心を動かします。

 

 

本作品を読んだ感想

 

 

 1~5章までどの話も感情移入のしやすい話です。

 特に2章の昔の女に恋焦がれる話は女性のしたたかさと怖さを知る事が出来ました。

ドブの味噌汁と揶揄されるような不味い飯を作る人と一緒になったらと考えると逃げ出したくなると私も思います。

そして、自分に会いに江戸から来た女性も本当に好きだからというわけではないというサスペンス的などんでん返しも面白かったです。

 後は5章で登場する隠居した侍の話もこの世に溢れる話ですね。

人のためだと思って手助けしたつもりが、最初は感謝されるがどんどんとエスカレートし最後には強盗までされる。

嫁は蓄えがなくなっても、笑顔で「また働けばいいではないですか」と健気に話すともう胸が詰まってきます。

こんな事があれば人嫌いになるのは頷けます。

 幕末まらそん侍と聞いて時代劇っぽい話ではなく、現実にもいそうな人物や出来事が起こります。

それがまた共感できるのかもしれません。

 

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最後に

 

 

 幕末の背景はありつつも様々な人間模様を楽しめる一冊でした。

後半になるにつれて登場してきた人物のとの繋がりが出てくるところがまた良い演出です。

私の中でいろんな俳優さん女優さんが登場してんやわんやです。

これだから読書は病みつきになるのかもしれません(笑)

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。