こんばんわ
今日は読書感想文の回になります。
今回の記事の内容
本作品の概要
本作品は短編小説を集めた作品です。
押入れのちよはその中の1つのタイトルでした。
本書は全9作品が収録されていて、どれも30ページくらいなので1時間もあれば1つ読める丁度良いボリュームでした。
そして、中身も心温まるものから身の毛もよだつような恐ろしい話がありました。
特に印象に残った作品
押入れのちよ
この作品は心温まる作品でした。
主人公は仕事を辞めた直後の男性です。
この男性は失業保険でなんとか暮らしていました。
ところが給付期間が終わりを迎え、今までの生活が出来なくなり引っ越しを余儀なくされます。
引っ越し先の条件はトイレ風呂付で5万円以下というスーパー良物件です。
そんな都合の良い物件はないと仲介業者に断られ、けんもほろろに追い返されそうになります。
しかし、ここで思い出した様にある物件を紹介されます。
和室+ダイニングキッチン+トイレ風呂付で家賃が36000円という破格の内容です。
もはや猶予の無い主人公は即座に契約し引っ越しをします。
しかし、なぜ主人公はお金が無いのにここまでの条件を選ぶのかですが、彼には彼女がいます。
彼女は仕事を辞めてから疎遠になり、もし風呂なしアパートなんかに引っ越ししたらそれこそ別れようと言われかねません。
引っ越し作業が終わって久しぶりに彼女に電話を掛けると電子音で「現在使われておりません」とアナウンスが返ってきます。
主人公は彼女がたまたま携帯を壊れているのだと思い込んで引っ越しの疲れを癒すために床に着きます。
すると、誰もいないはずの部屋で物音がします。
そう、この部屋は出るんです。
可愛らしいおばけが・・・
介護の鬼
苑子は夫の実家に暮らす主婦です。
義父は大腿骨を骨折し入院から帰ってくると痴呆症が進み、寝たきりの状態になっていました。
苑子はそんな義父を甲斐甲斐しく世話をしている・・・・はずでした。
寝たきりの義父に昼食を食べさせるためお粥を作っているのですが、そのお粥は何と熱々です。
義父はご飯を食べようと口を開け、苑子は義父の舌に熱々のお粥を垂らします。
数秒後に熱さに気づいた義父は吐き出します。
そんな恐ろしい介護をしている現場から始まります。
誰もいない家で恐ろしい事が行われているとは苑子以外は知りません。
ところが、苑子にも言い分があります。
苑子は嫁姑問題で苦しんでいました。
義父の妻である節子は事あるごとに苑子をなじっていました。
化粧が濃いだの派手な服だの礼儀がなっていない家系だと常日頃から小言をボヤいていたそうです。
その義母は一年前に他界し、その直前に寝たきりになった時は同じように憂さ晴らしをしていたそうです。
苑子の義父に対する行動は姑への怒りの延長線でした。
そして、早く義父が逝ってもらえば遺産を相続して旅行に行こうと邪まな事を考えています。
あらかた義父を攻撃した後に苑子は一旦は義父の部屋を後にします。
そして、次の同窓会に行く時の服選びをしている時に以前は着る事ができた服がサイズオーバーだと気が付きます。
その原因は介護のために辞めてしまった趣味のゴルフスクールとスナック菓子を食べている事でした。
肥満の原因は全て義父のせいだとさらに苛烈な行動に出ようとします。
氷の入った水で体を拭くという恐ろしい介護です。
そしていざ義父の元へ行き布団を剥がすと、そこにいるはずの義父がいません。
ここから苑子の地獄が始まります。
本書の面白かった所
先ほど書いた2作品は引き込まれました。
押入れのちよではお化けとの不思議な共同生活部分はホラーのはずが明るい話になり、全然怖くはありません。
逆に介護の鬼の後半は迫り来る恐怖はありますが、続きが気になります。
怖いもの見たさというのでしょうか。
世にも奇妙な物語のホラー回のような始末の悪さです。
他の7作品も面白く何と言っても1作品30ページくらいなので飽きる前に読み終わって
しまいます。
読書をしたいけど、中々続かない人にもオススメ出来る作品です。
押入れのちよを読むなら↓
最後に
読書は楽しいですね。
ちよちゃんのような幽霊なら憑りついて欲しいなって思います。
カルピスとビーフジャーキーを置いておこうかな(笑)
今回のようなパラレルワールドは現実逃避が出来て私的にはスッキリします。
全く違うものを疑似体験する事で今ある課題にも再度取り組む活力になります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。